地味子の初恋


ホームまで行くと、すぐに電車がきた。

瑠稀に続いて、無言で電車に乗り込む。

電車の中は、学生と社会人で混雑していた。

いつもの光景で、もう慣れたはずなのにあたしの心情はやるせなかった。

それは目の前のこの男のせい。

学校の近くの駅までは2駅。

長くなんてないけど、苦痛に感じてしょうがなかった。

学校に着くと、クラスの子も何人かいて突然現れた転校生と歩くあたしを見て好奇な目を向けられた。

ヒソヒソと何かを言っている人もいる。

「ね、ねえ。教室まで別々に行かない?」


恐る恐る、瑠稀に声をかける。

「は?なんで」

「えっと、あの…」

言葉が出てこない。なんて言ったらいいのか分からなかった。

「理由がねえなら、言うんじゃねえよ」

そう吐き捨てると、また歩き出してしまった。

理由ならある…あるのに。

周りから向けられる視線に耐えきれなかった。

瑠稀は昔から顔だけはいいから、あたしが隣にいるだけで変なものを見たような目を向けられる。


なんで、おまえがいるんだって。


そう目が言ってる。


瑠稀はそんなあたしの気持ちを気づいていないのか、それを知って楽しんでるのかあたしの意見を聞いてくれなかった。


クラスに着くと、クラス中の視線があたしたちの降り注がれた。

居た堪れなくなって、すぐさま自分の席に着いた。




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