地味子の初恋
瑠稀のもとには、瑠稀の隣の席の女の子が寄ってきた。
明るめな髪に、モデルようなスタイルで規定より短い制服を着こなしている。
メイクはばっちりで、目を大きく強調していた。
「ねえ、相模君!なんで、こんな地味な子と来てるの~?」
じとっと、瑠稀に向ける顔とは違う冷たい視線を向けられた。
「っ!」
その視線にビクッとしてしまった。
瑠稀は何も言わなかった。
何も言わない瑠稀を見て、瑠稀の隣の席の女の子三沢さんはあたしに視線を向けた。
「昨日もこの子が倒れたら、なんで相模君が連れてくわけ?
もしかして、あんた演技じゃないの~?相模君に近づきたくてさ」
三沢さんの言葉が突き刺さる。
なんで?
「ちがっ…あたしはそんなんじゃ」
「どうだか…あんた地味なくせして、やるよね」
三沢さんの取り巻きの女の子たちもクスクス笑ってる。
「ちょっと!本人が違うって言ってるんだから止めなさいよ」
そこで、葉南が止めに入ってきてくれた。
「葉南…」
助けてくれた。それだけで涙が出そうになる。
今までは友達がいなくて、助けてくれる人なんていなかった。
葉南はあたしとは違って、ハキハキしてるけどあたしと一緒にいてくれる。
「霧下、あんたは黙ってなよ。あたしはこの女と話してるのよ。あんたみたいな地味な女、相模君には合わないの分からないワケ?」
三沢さんは、冷たく言い放った。
別に、あたしは瑠稀のことが好きなわけじゃない。
だけど、あたしが地味で冴えない女だってみんなに知らしめされてるようで悲しかった。
「勘違いしてるようだけど…」
そこで、今まで黙っていた瑠稀が口を開いた。