地味子の初恋



「おい、屋上まで案内しろ」


「屋上…?」


屋上で何すんだろ…


「なんで…?」

気づいたら、疑問を口にしていた。

「飯食うに決まってんだろ。だから、おまえも弁当持ってきたんじゃねえの?」

意識してなかったけど、手にはお弁当箱。

「あ…」

瑠稀はこれ以上何も言わなかったので、ただ案内に集中した。

屋上を目の前にして、また疑問が1つ浮かんだ。

「でも、屋上って立ち入り禁止なんだけど…」

目の前の、屋上に通じるドアは施錠がしてあった。

すると、瑠稀はポケットから鍵を取り出した。

「パクってきた」

そして、鍵穴に差し込む。

そして、瑠稀は鍵を空け立ち入り禁止の屋上に入り込んだ。

あたしも、瑠稀に続いて屋上に入った。


当たり前だけど、立ち入り禁止の屋上は二年生にして初めて立ち入る。

そこには、青空が広がっていた。

春の暖かな風が心地よかった。

「おい、飯食うぞ」

瑠稀は座って、コンビニの袋からジュースとサンドウィッチを取り出した。


あたしも座って、お弁当を食べ始める。

お弁当を半分食べた頃、瑠稀はもう食べ終わっていた。

「おまえさあ、なんでさっき断んなかったんだよ」

瑠稀の声に手を止めた。

「え…」

「三沢に言われてただろ。おまえ、あのままジュース買いに言ってたの?」

「ち、違う…」

「だったら、断ればいいだろ。おまえそんなことも言えないのかよ。おまえの口は飾りかよ」

言えたら、瑠稀の言いなりになんてなってないのに…。

そう思って、俯いた。




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