地味子の初恋
「またそれ」
「え…」
「そうやって、すぐ俯くの。うざい」
何も言えなかった。
分かってる、あたしがうざいの。
だって、何も言えなくなるんだから仕方ないのに…。
すると、瑠稀はまだ食べ足りないのかあたしのお弁当のから揚げをひょいっと指で掴んだ。
「あ…それ、あたしが作ったから瑠稀の口に合わないかもしれないよ…」
「それは、俺が決めることだ。おまえの決めることじゃない」
そう言って、口に入れた。
あたしは黙るしかなかった。
「…おまえ、これ自分で作ってるんだ?」
「う、うん…」
お母さんが働いてるし、料理好きだから毎朝自分で作ってるのだ。
「明日から、俺にも作ってこい」
瑠稀の言葉に目を丸くした。
「え、えええ!?」
「なんだよ、その顔。嫌なのかよ」
瑠稀は、眉を潜めてあたしを睨んだ。
「そ、そうじゃないけど…」
別にお弁当が1つ増えるくらいじゃ、たいしたことない。
「まずいの作ってきたら、承知しねえからな」
…そういうこと言われると思ったから、嫌だったのに…。
「なんだよ、文句あんのかよ」
「そんなことない…」
瑠稀に言えるわけもなかった…。