地味子の初恋
あたしのか細い声を聞いて、瑠稀は立ちあがってさっさと屋上から出て行ってしまった。
「……」
あたしは、屋上に1人取り残された。
1人だけの屋上。
青い空さえも、広すぎてあたしの心を憂鬱にさせた。
「はあ…」
大きな溜息が零れた。
明日も一緒に食べなきゃ行けないのかな。
それに、何を作ればいいのか分かんないし。
瑠稀の好き嫌いだって知らない。
「…戻ろう」
こんなとこで考えてたってしかたない。
誰に言うわけでもなく、呟いた。
教室に戻ると、瑠稀は三沢さんを筆頭にたくさんの女子に囲まれていた。
葉南もちょうど教室に戻ってきたみたいだった。
「栞!大丈夫だったの?」
葉南は、あたしに気づきかけよってきた。
「うん、大丈夫だよ。それでね、しばらくは瑠稀とお昼一緒かもしれないの。だからあたしのこと気にしないで、春斗君と二人で食べてて」
「そうなの?栞がいいならいいけど…嫌だったら、戻ってきなよ」
「うん、ありがと」
ほんとは嫌だよ。
だけど、ほんとは二人でお昼食べたいはずなのにあたしを混ぜてくれた二人に二人きりで食べさせてあげたいから。