地味子の初恋
嫌いなモノ
次の日、あたしの朝はいつもより少し早く始まった。
今日から、瑠稀のお弁当も作んなきゃいけないのだ。
昨日の夜、新しいお弁当箱も買ってきた。
あたしが使っているものより、少し大き目の黒いお弁当箱。
お弁当箱を取り出して、ふと考えた。
瑠稀って、嫌いなものとかあるんだろうか…?
不味いもの作ったら承知しない、って言われたけど何が嫌いとか全く見当がつかない。
当たり前だけど、瑠稀の好き嫌いなんて気にしたこともなかった。
悩んでても、時間は刻々と過ぎていく。
これじゃ、早く起きた意味がない。
昨日の夕飯の残りのピーマンの肉詰め、ウインナー、卵焼き、ミニトマトとご飯を詰めた。
自分のお弁当も、同じように詰めて鞄にしまう。
朝ごはんを食べて家を出る。
瑠稀の家の前に差し掛かってきたところで、瑠稀が家から出てきた。
眠いのか、不機嫌そうに眉間に皺を寄せている。
「…弁当、持ってきただろうな」
「う、うん…」
そう言って、鞄からお弁当を取り出そうとする。
「昼飯の時でいい。毎日、屋上におまえが持ってこい」
「え…」
「授業終わったら、すぐ来い。わかったな」
有無を言わせない、威圧感。
「分かった…」
頷くしかなかった。