地味子の初恋
教室に辿り着くと、瑠稀に三沢さんを始めたくさんの女子が群がった。
「相模君、おはよー!!」
「今日もこんな子と登校したの?地味なのが移るよ~」
クスクスと笑う笑い声。
「まあ、そうだな。だけど、こんな地味になれるのコイツだけだから大丈夫だ」
「ハハハ!それもそうだよねー!!」
三沢さんが一段と大きい声をあげた。
瑠稀は一緒におもしろがっていた。
「っ……」
だったら、一緒にいなきゃいいのに。
今までは、地味だからって三沢さんたちはあたしに見向きもしなかったのに瑠稀が現れてからからかいの標的になった。
地味で瑠稀の奴隷というイメージは、もう拭いきれないのかもしれない。
悔しさより、恥ずかしさが上回って顔を上げられなかった。
唇を噛みしめて、自分の席に座った。
「栞!おはよ!!どうした?浮かない顔して」
登校してきた葉南に声をかけられた。
「ううん。なんでもないよ」
力なく笑った。
だけど、ちゃんと笑えたかな。
「そっか…それより、昨日大丈夫だった?」
「うん、普通に帰っただけだから…」
あたしも、葉南みたいに元気だったら瑠稀の命令なんて断れるのに…。
「そっか、それならいいけどさー。しかし、あんたも厄介な幼馴染がいるんだね」
葉南は苦笑いして言った。
それに、あたしも苦笑いした。
同時に、人を羨む自分が嫌いだと自己嫌悪に陥った。