地味子の初恋
「テメェ…。いい度胸してるじゃんか。俺が大嫌いなもの入れるなんてよ」
瑠稀は、あからさまに不機嫌そうな声を出した。
瑠稀があたしの髪を引っ張るから、必然と至近距離に瑠稀の顔があって瑠稀の表情は嫌でも感じ取れた。
「そ、そんなの知らないっ…」
「ああ?知らないじゃねえよ、おまえ俺の幼馴染何年やってるんだ」
「そ、そんなこと言われたって…気にしたことないんだから仕方ないじゃん…」
そんな、凄まれたって知らないものは知らない。
知ろうとしなかった。
瑠稀だって、教えようとしなかった。
あたしが近づくと暴言ばかりはいたくせに!
「チッ」
瑠稀は、舌打ちをして苛立ったようにあたしの髪を乱暴に放した。
痛くて、髪が抜けるんじゃないかと思った。
「い、痛い…」
思わず出てしまった。
「…だから何」
瑠稀の冷たい視線が突き刺さっただけだった。
無意識だけど、言うんじゃなかったと後悔した。
瑠稀は黙って、お弁当箱を抱えながら流し込むかのようにお弁当を食べていた。
そして、乱暴にお弁当箱を置いた。
「次からは入れるんじゃねえぞ」
お弁当箱は空だった。
「まずい飯食わせやがって…」
そう言い、屋上を出て行った。
無理に食べなくてもよかったのに…。