地味子の初恋
瑠稀が投げ捨てるように置いたお弁当箱を片づけた。
すると、パタパタと足跡が聞こえた…気がした。
辺りを見回すと誰もいない。
気のせいだよね?
第一、屋上は立ち入り禁止だし。
ふと、足元を見ると鍵が落ちていた。
これって、瑠稀が持ってた屋上の鍵…?
「………」
閉めてけってことなのかな。
1人で、自己解決して屋上の鍵を閉め屋上を後にした。
教室に着くと、瑠稀は自分の席にいて三沢さんを始めとした女子に囲まれていた。
手の中のものに視線を落とす。
鍵、返さなくちゃ…。
でも、近寄りがたい…。
恐る恐る、近づいた。
「ちょっと、何見てるわけ?」
三沢さんが、あたしに気づき睨んだ。
「あ、あの…鍵…」
おずおずと差し出す。
「はあ?鍵?何言ってんのアンタ」
「なんなの、この鍵。まさか、自分の家の鍵とか?」
「何ソレ!地味女が誘ってるってことー?キモいんだけどー!」
あたしを話題に勝手に盛り上がる三沢さんたち。
「ち、違うっ!これは屋上の…」
「はあ?何言ってんのアンタ。屋上は立ち入り禁止だし」
「これは瑠稀が…」
周りの女の子が一斉に瑠稀を見る。
「知らねえな」
瑠稀の口元がつり上がったのが見えた。