地味子の初恋


葉南には、こんな姿見られたくなかったな…。

そんなこと思ったって、もう過ぎたことなんだけど。


暖かな春の風が、あたしの髪を揺らす。

屋上から見える、何気ない風景をぼんやりと見つめ午後を過ごした。


はぁ…2日続けて、サボってしまった。

1人、自己嫌悪に陥った。

教室に戻る気がしなくて、授業が終わるまで屋上にいてしまった。

校庭には、部活に勤しむ生徒がちらほらといる。

「帰ろう…」


屋上を出て、教室に戻るとクラスには瑠稀の姿はなかった。

三沢さんたちがいた。


「あー!やっときた」

三沢さんたちの表情で分かってしまった。

ニヤニヤと、何かを楽しむような表情で。

いいことが待ってるわけではない。

「ちょっと、来てくんない?」

冷たい、有無を言わせない声で言われた。

無言で頷いた。


鞄を持って、三沢さんお後を歩く。

後ろには、三沢さんの友達が2人いる。


逃げることなんて、跡が怖くてできないけど逃がさないってことなのかな。


連れられたのは、普段から人の出入りが少ない職員用のトイレ。

さっき、職員会議の放送が流れてたから尚更だ。

入口で足を止めた。

「ほら、入れよ!」

「いたっ…」

後ろから背中をおもいきり押され、バランスを崩し転んだ。




< 34 / 46 >

この作品をシェア

pagetop