地味子の初恋
葉南には、こんな姿見られたくなかったな…。
そんなこと思ったって、もう過ぎたことなんだけど。
暖かな春の風が、あたしの髪を揺らす。
屋上から見える、何気ない風景をぼんやりと見つめ午後を過ごした。
はぁ…2日続けて、サボってしまった。
1人、自己嫌悪に陥った。
教室に戻る気がしなくて、授業が終わるまで屋上にいてしまった。
校庭には、部活に勤しむ生徒がちらほらといる。
「帰ろう…」
屋上を出て、教室に戻るとクラスには瑠稀の姿はなかった。
三沢さんたちがいた。
「あー!やっときた」
三沢さんたちの表情で分かってしまった。
ニヤニヤと、何かを楽しむような表情で。
いいことが待ってるわけではない。
「ちょっと、来てくんない?」
冷たい、有無を言わせない声で言われた。
無言で頷いた。
鞄を持って、三沢さんお後を歩く。
後ろには、三沢さんの友達が2人いる。
逃げることなんて、跡が怖くてできないけど逃がさないってことなのかな。
連れられたのは、普段から人の出入りが少ない職員用のトイレ。
さっき、職員会議の放送が流れてたから尚更だ。
入口で足を止めた。
「ほら、入れよ!」
「いたっ…」
後ろから背中をおもいきり押され、バランスを崩し転んだ。