地味子の初恋
昔から、幼馴染でパシリのあたしは意志とは反対に瑠稀といる時間が多くて女子から妬まれることは多かった。
ものを隠されたり、呼び出しされることはあっても
こんなことは初めてだった。
制服はびしょびしょで、シャツが体に張り付いて気持ち悪い。
「どうやって、帰ろう」
1人、呟いた。
帰りたくない…。
もう、嫌だ…。
逃げ出したかった。
床は水浸しで、水溜りの中座ったままだ。
動く気力すらなかった。
ただ、泣き続けた。
体は冷えてくのに、とどまることを知らない涙だけは温かった。
奴隷だけでも苦痛なのに、それを周りからは分かってもらえなくて
こんな目に合わされて、この気持ちをどこに持ってけばいいんだろう。
あれから、どれくらいたったのだろう。
ぼーっとしていた。意味もなく。
廊下には足跡が響いている。
走ってるのか、大きな音で。
「おい、地味子いるのか?」
入ってきたのは瑠稀だった。
目を丸くした。
まさか、瑠稀が来るなんて思ってなかったから。
ここは、女子トイレだから当たり前だけど。
瑠稀も目を丸くしてた。
目の前の、あたしの姿を目にして。