地味子の初恋
「…おまえ、何してるわけ。ビショビショじゃん」
瑠稀は、あたしの姿を見て目を丸くした。
「あいつらにやられたのかよ」
「……」
あたしは、何も言わずに顔を背けた。
言ったって、なにか変わるわけじゃない。
逆に、三沢さんたちの怒りに火をつけることになるかもしれない。
「おい、なんとか言えよ」
あたしの心の中で、怒りは完全に瑠稀に向かっていた。
瑠稀と関わらなければ、こんな目に合わなかったのにっ!
「…おい、また得意の黙りこみか?」
何も言わないあたしに、瑠稀は痺れを切らしたかのように舌打ちをして不機嫌さをあらわにした。
「…そう、させるのは瑠稀のせいじゃないっ!」
力なく、睨みつける。
「は?」
瑠稀は冷めた目おあたしに向けた。
その冷たい瞳に、いつもみたいに怯みそうになったけど怯んでは駄目だと思った。
「昼休みの後、ああ言ったのはわざとなんでしょ?ああ言えば、あたしが反感かうのは分かることなのに」
瑠稀は、その場にしゃがみあたしと目線を合わせる。
「…だから?」
それは、とても小さなことだと瑠稀の表情が物語っていた。
「!瑠稀のせいで、あたしは…!」
「ああ、わざとだよ?俺はおまえをいじめることを楽しんでる。これでいいか」
「何、それっ!あたしの身にもなってよ…」
「奴隷の身になる必要があるか?」