地味子の初恋


ビショビショなあたしが着たせいで、ジャケットまでもが濡れてしまっていた。


これ、洗って返さなきゃ。てゆうか、クリーニングに出さなくちゃ。


「なに、脱いでんだよっ!」


隣にいた、瑠唏はすごい勢いで睨み付けてくる。

「ひっ…!」


大きな声を出すし、思わず飛び上がってしまった。


「着てろって言っただろ!!!」


「もう寒くないし…」


「誰が決めたんだよ」


誰がって…あたししかいないのに。

「あ、洗って返すから」

「うるせえな!そんなこと聞いてんじゃねぇんだよ!!」


「ご、ごめんなさい…」


思わず、誤ってしまう。

「ほんとに、俺を苛立たせる天才だな…」


その後も、子供みたいに馬鹿女などと延々と罵られた。


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