地味子の初恋
奴隷宣告
どんなに願っても、朝はやってくるもので。
心地よい陽射しでさえも、憎く感じた。
昨日はいつの間にか寝てしまったけど、目覚めは最悪だった。
唇を擦ったって忘れることはできなかった。
このまま、寝てしまいたいけどそうとも行かず
重たい体を奮い立たせて起き上がった。
真面目だけが取り柄なのだ。
一通り準備を済ませ、リビングに降りると見覚えのある鞄があった。
あたしの鞄だ。
「お母さん、コレ…」
朝ごはんをテーブルに運ぶお母さんに尋ねた。
「栞、早退したんですってね?昨日の夕方、瑠稀君が届けてくれたのよ」
…瑠稀が?
怪訝そうな表情を浮かべずにはいられなかった。
「瑠稀君転校してきたんですってねー!高校別々になってからは見かけなかったけど、益々カッコよくなっちゃって!ヤンチャになってたけどね」
…ヤンチャなんて可愛いもんじゃないよ。
ただの不良じゃない。
「家がせっかく近所なんだから、この機会にまた仲良くしてもらいなさいね」
誰があんなやつと仲良くするか!!!