トナリの無口くん
あたしの横にいた小川が笑いかけた口元をおさえた。
……そんなの関係ねぇって言ったから???
ホントは爆笑したいんだろうね、小川………
空気を読んで笑わないんだね。
あたしもちょっとおかしかったけど、一応空気を読んだ。
小島は、野口をじっと見て言った。
「いいことなくたっていいよ。別に、オレといたっていいこともないし」
野口は黙ったまんま。
ちょっと驚いているようにも見えなくはない。
小島はさらに続ける。
「野口は……無口で、無愛想で、全然笑わねぇし、と思ったらいきなり笑い出すし、なに考えてるかわかんねぇし………」
「じゃあ、なんで……」
「でも思っちまったんだよ!!お前と友達になりてぇって!!なんでかわかんないけど……」
あたしと小川は、目を合わせて首をかしげた。
多分あたしと小川が考えていたことは同じだろう。
なんで、こんなにシリアス的な空気になってるんだろう……???
真剣な小島と野口には悪いけどさ。
と思ったのもつかの間、野口がふっ、と息をもらした。
「お前……真剣になりすぎ。冗談で言ったのに」
野口の顔は今にも笑い転げたいと言っている。