トナリの無口くん
あたしは何故か悔しかった。
最初の一言をまさか、野口から言われるなんて、思ってもみなかったから。
しかも、授業中だし、会話は広がらない。
最初の一言がこんなにあっけなく終わるなんて………………
「ええっ?!!!最初の一言野口からやったん??!!」
小川も驚きを隠せない。
「ボクんときもたしか、初めはボクからやってんけどなぁ」
「まぁ、教科書を忘れたんなら、当たり前だよ」
「…………そうか???確か、前野口、教科書忘れてたけど隣に見せてもらってへんかったで??」
……………は????
あたしは小川の言葉の意味がわからない。
「そんなん、授業わかんなくなるじゃん」
「そもそも、野口はあんまり忘れんかったし。頭いいから授業わからんくならんのちゃう???まあどうであれ、教科書忘れたって言わへんほど無口やってん」
そうなんだ…………
あれ????
じゃあなんで………
「そうやってんけどなぁ……………」
小川はあたしをチラッと見た。