トナリの無口くん


「なぁ、小島ぁ」

小川が小島に声をかける。


「なんだよっ!!!」

恥ずかしそうにしている小島。


小川は、小さな声で、ひょ、って言わへんのかい、とつっこんで、八重歯を見せた。



「いきなりこんな野口見て、驚いたやろ???」

「あ、まぁ……」

「正直、変なやつって思ったやろ???」

「あ、まぁ……」


全く同じ返事の小島。


小川の変なやつって言葉に、野口は少しだけ不満な顔をした。



「でもなぁ、野口の変なんはこんだけじゃ終わらんで!!!」

そう言った小川は野口を見て、さらに八重歯を見せる。


「………」

野口は小川をキッとにらんだ後、小島に目を向けた。




「俺……別に変じゃないから」

表情ひとつ変えずに言った野口は、ガタンと席について、顔を机に突っ伏した。


「寝てもーた……」



いやいや。やっぱり野口は変なやつでしょう。

いきなり笑って、いきなり黙って、いきなり寝て。



でもなんだか面白い。


小島の言っていた事は、正しかったんだ。
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