トナリの無口くん
小島は、机に顔を突っ伏した野口を見て、ボソッとつぶやいた。
「やっぱ、おもれぇわ。こいつ」
それだけ言って、下手くそな口笛を吹きながら、自分の席へと歩いていった。
「……なんやねん。ホンマわからん奴やなぁ」
小川は、野口を見て、笑いながらため息をついた。
「高原、授業始まったら起こしたってな」
小川は、小島に対抗してか、口笛を吹きながら、歩いていった。
小島よりは、上手いかな……
あたしは、自分の席について、顔の見えない野口を見た。
ぶっちゃけ、野口は寝てないと思う。
だって、小島の下手くそな口笛を聞いて、少し肩が震えてたもん。
きっと、寝たふりしたのは、自分の気持ち、上手く言えないからでしょ??
無口じゃないときも、無口なときも、口下手なんだね。
やっぱり野口は面白い。
小島の考えている事が、わかった気がした。