トナリの無口くん


「岩っちが言ってよぉ〜〜♪♪凛ちゃんできなぁい♪♪♪」

岩っち……もとい、岩城……岩城……


下の名前なんだっけ……



「では、話を進めさせていただきますが、議題は、『松井秀喜の生き方について』です。このワークシートを見て、何か意見のある方は……」


なんなんだよ、この機械的な話し方は。

なんだか人間と話してる感じがしませんけど。


野口も、そらした目線を、戻そうとしない。




「高原さん、野口くん、聞いているのですか???」

岩城に注意された。


「……すみません」

「ごめんなさい」

あたしも野口も、適当な謝り方。



「わかればいいのです」


おいおい。
なんで上から目線なわけ。



「では野口くん。意見を述べてください」

岩城が言うと、野口は嫌そうな顔をした。


「早く言ってください。話が進みません」

岩城の声色が少し怖くなる。


野口は嫌そうな顔でゆっくりと口を開いた。
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