トナリの無口くん


「……凄いと思いました。終わり」

それだけ言って、野口はまた目線をそらす。



「……それだけ???」

あたしは聞いた。


沈黙はあんまり好きじゃない。

かと言って、相沢さんや岩城と話す気にはなれない。

だから、野口に話しかける。



野口も少し、表情を和らげた。


「悪いかよ。しょーがねーだろ、書けねーんだから」

「あ、そう」


なんだか野口と話して、少しだけホッとした。

唯一の救いだわ……



「羽瑠ルンわぁ〜〜♪♪なんかないのぉ〜〜??」

は、羽瑠ルン…???

相沢さん………


真剣にやめて。



「う〜〜ん、ないかな」

あたしは相沢さんに苦笑いをして、野口みたいに目線をそらした。



あぁ、もう、ホントやだ。





あたしは同じ班の、もう一人の人の席を見た。


空いた席を。
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