トナリの無口くん
「一万ピースって何???」
あたしは美希に尋ねる。
野口も少しだけ顔をこっちに向けた。
小川はニヤニヤしている。
………ってことは知ってるな………
「一万ピースのパズルみたいに、全然ひとつにならないから、『一万ピース』」
「……なにそれ……」
し……
しょーもない。
「みんな、この班の事、『一万ピース』って呼んでるでぇ」
小川が補足説明する。
そーなんだ。
全然知らなかった。
「…一万ピースどころじゃねぇよ」
いきなり言ったのは、野口だった。
「なんやて??」
「……別に」
野口はそっぽを向く。
でも、確かに……
一万ピースどころじゃないかも………
まとまるはずがない、あの班が。
あたしは真剣にそう思った。