トナリの無口くん
あたしは思い出した。
「それって………事故で話せなくなったとか…………????」
「それとか………まだいろいろあるねん」
小川は悲しみのような悔しさのような、いろいろな感情が混ざり合ったような表情を見せた。
「ボクが聞いたんは…………目の前で両親が殺されてショックで話せなくなったとか………口数が少ないんは病気やとか……………」
それはあたしにもショックが大きかった。
あたしはしばらく声が出なかった。
「野口は………そんなことないのに…………なんでみんなそんな事言うねん………!!!野口も…………なんでそんなん言われてなんも言い返さへんの……???」
小川は本気で野口の事を心配している。
ああ、そうか────
「野口は、そんな事気にしてないよ」
あたしの口から自然にこぼれた言葉。