トナリの無口くん
体育大会
そして、時は流れ─────
体育大会の日がやってきた。
全校生徒がクラス順に並ぶ。
あたしは、その一番前にいる。
あ〜〜〜練習なら緊張しないんだけど………
やっぱり本番は緊張するなあ…。
緊張しているあたしに気づいたのか、小川があたしの顔を覗き込んだ。
「緊張すんなって〜〜たかが学校の行事やん!!」
「!!うわっ!!……なんだ小川か………」
「うわっ!!ってなんやねん〜〜ボクらコンクールも乗り越えてきたやんか!!こんくらい簡単やって♪♪♪」
小川はなぜか得意らしいウィンクをした。
ばーか。
似合わないんだよ。
でもやっぱり嬉しかった。
小川の優しさが。
「そだね……頑張るよ」
小川のお陰でだいぶ気が楽になった。
「今から、体育大会を始めます!!!」
体育委員長の声。
あたしはホイッスルを思い切り鳴らした。