トナリの無口くん
そして、午後の部。
最初の種目は男子100メートルリレー。
小川が出る種目だ。
「ん〜〜〜まぁちょっくら頑張ってきますかぁ」
小川はのびをしながら、独り言のようにつぶやいた。
「小川何番目に走るの??」
「トップバッターやで」
おっと!!
聞かなかったら見逃してた………
「100メートルリレーに出る生徒は、入場門まで来て下さい」
放送が聞こえた。
「あっ!!ボクもう行かなあかんわ。んじゃ」
「頑張れ〜〜!!応援してる!!」
小川は手を振りながら走っていった。
いつものように八重歯を見せて。
同じクラスでよかったなぁ………
違うクラスなら、応援してるなんて、言えないもんね。
吹奏楽部にあたしと同じクラスは小川しかいない。
部活とクラス。小川との二つのつながりは、
あたし以外は持ってないんだ。
そんなささいなことだけで、幸せになってしまうあたしって、おかしいかな??