トナリの無口くん
入場門につくと、もう上原や秋本さん、そして野口はいた。
「おせぇよ高原。テラワロス」
「すみませ〜〜ん」
いつもならムカッとくるセリフも、なぜか全然気にならない。
「あ………あの………高原さん」
秋本さんが何か言いたげだ。
「なに???」
「あ……あたし………頑張りますんで…………」
………なんだ。
秋本さんも勝ちたいんだよね。
そりゃそうかぁ………
「混成リレー選手、入場!!」
放送が聞こえた。
あたしは三人に笑いかけた。
「みんな、頑張ろ!!」
「は……はい!!」
「りょーかいっ(`_´)ゞ!!」
秋本さんも上原も返事してくれた。
野口は小さく頷いただけだった。
でもいいんだ。
笑ってくれたから。
野口の気持ちがわかったから。
頷くだけで、十分だった。