トナリの無口くん


「混成リレー選手、退場!!」


あたしたちは退場門から退場した。





ホントはすぐ吹奏楽部の席に戻らなきゃいけないんだけど………

ちょっとだけ!!!


あたしは野口の方へ走ってった。





「野口〜〜!!」

「………???」


野口はあたしの方を向いた。

いつもより息が弾んでいる。





「……ありがとうね」


「…………なんで??俺だって………勝ちたかったし」


叫んだときと声のボリュームは歴然だった。





「だって……野口は無口だし………なのに、大きな声出してくれて、嬉しかったから」


あたしがそう言うと、野口の顔は少し赤くなった。

あ、照れてる。





「そりゃあ……大きな声出すのは苦手だけど………それでも……叫んででも……勝ちたかったからさ」

やっぱり苦手なんだ。
でも叫んでくれたんだ。


その気持ちが嬉しかった。
< 66 / 187 >

この作品をシェア

pagetop