トナリの無口くん
「混成リレー選手、退場!!」
あたしたちは退場門から退場した。
ホントはすぐ吹奏楽部の席に戻らなきゃいけないんだけど………
ちょっとだけ!!!
あたしは野口の方へ走ってった。
「野口〜〜!!」
「………???」
野口はあたしの方を向いた。
いつもより息が弾んでいる。
「……ありがとうね」
「…………なんで??俺だって………勝ちたかったし」
叫んだときと声のボリュームは歴然だった。
「だって……野口は無口だし………なのに、大きな声出してくれて、嬉しかったから」
あたしがそう言うと、野口の顔は少し赤くなった。
あ、照れてる。
「そりゃあ……大きな声出すのは苦手だけど………それでも……叫んででも……勝ちたかったからさ」
やっぱり苦手なんだ。
でも叫んでくれたんだ。
その気持ちが嬉しかった。