トナリの無口くん

｢ってゆうか野口って足速いんだね｣


｢………別に、普通だろ｣

野口はまだ照れている。



｢でも、みんな驚いてたし……｣

｢まぁ………本気で走ったの久しぶりだったからね｣


｢そこまでして、なんで勝ちたかったの??｣



野口は少し考えるような表情を見せた。




｢………特にねぇよ｣


野口は顔を赤くしたまま、クラスの方へ走っていった。




嘘だ。

特にないなんて。


あたしうすうす分かってるよ。



最初バラバラだったチームが最後ひとつになったからだよね??



あたしもそう思ったもん。



野口もきっとそう思ってたよね???




それなら、すごく嬉しいよ。