トナリの無口くん
「知らない??あたしの名字を、叫んでたけど…………」
「そんなん、聞こえるわけないやん!!そーなんやぁ、野口が叫んだんかぁ……聞きたかったわぁ」
野口の声は、ほかの人には聞こえてなかったんだ。
みんな白熱してたしね。
あとでみんなに聞いても、誰も野口が叫んだことを知らなかった。
あたしの名字を呼ぶ声が聞こえた人はいたけど、野口ってわかってる人はいなかった。
野口の声を聞いたのはあたしだけだった。
きっと野口はこの先、あたしたちの前であんな大声を出すことはないんだろうな。
貴重なものが見れたかも。
本当に今日は楽しかった。
ドラムメジャーが楽しめたのは、小川のおかげ。
リレーが楽しめたのは、野口のおかげ。
とりあえずは、この二人に感謝。