case of mistaken identity
俺は固まったまま、手中にある拳銃に釘付けになっていた。

黒光りするそれは、ただずっしりとこちらを見据えている。


見覚えなんてない。

生まれてこの方、拳銃なんて物騒なものを手にした覚えはどこにもない。




しかし、

今目の前にある"それ"は、異常な程に手に馴染む。



まるで何十年も使い込んで来たような頼もしさがその重さにはこもっていた。








前に群がってくる肉塊共は、今まで見たこともないような程に増え、逃げ場所など見つかりそうもない。



沸々と沸いてきたのは、

恐怖絶望ではなく、


闘気だった。




二、三くるくると指で回し、顔の横でガシャリと構える。

























「オーケィクソ肉野郎共、

残らずブチッ消してやる」

















「汚い言葉。」と呆れるリリーの声が聞こえた気がした。
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