ノンフィクションアリス
あまりにも現実味のないセリフだった。
コロサレタ。
ニュースでは毎日のように殺人事件が報道されている。
でも、まさか自分が会ったことのある人物が巻き込まれてしまったなんて信じられなかった。


「須賀は、高校辞めて引きこもりみたいになってるらしいよ」


真っ白な肌で小さくて愛らしくて黒い大きな瞳のかわいい女の子。
美雨。みうちゃん。あの時確か五歳だったと思う。

「年離れてるから、やっぱかわいいんだよな」

須賀は何の照れもなく言った。それによく須賀は妹と一緒に歩いていた。幼稚園の送り迎えや散歩や買い物。甲斐甲斐しく面倒を見ている光景も近所では有名で好感度はかなりよかった。

気がついたら須賀の家の前に立っていた。
眩しい程に白かった壁もくすんで汚れていた。

全ての窓には厚いカーテンがひかれ中の様子は解らない。
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