惚れたのはナルシスト
「ねぇ、真白ちゃん」
「なに」
「手、繋ぎたいなぁ」
バッと振り返ればうっすらと笑って、小首を傾げる。
カッコいい容姿の彼。
なのに、どうしようもなく可愛く見えて仕方ない。
「・・・・・・っ」
「ね、いいでしょ?」
そう言って手を伸ばす。
それを見て、分かってしまった。
コイツはこうやってたくさんの女を落として、
こうすれば断られないことを知ってるということを。
分かってる。コイツにとって、アタシは小さな暇つぶしだってことぐらい。
でも、どうしようもなく、本気で接しられてるような気がするんだ。
そう思ってしまう自分が怖い。
フイっと目を背けた。
コイツは危険だ。