蓮城博士の日常
「お父さん! 聞いて! ラムジェットエンジンをパッシブにしたら、木星の重力圏から抜け出す事ができたの!」
小さな女の子が、研究員に連れられて入ってきた。年の頃は五歳くらいだろうか? 子供と言うには余りに似つかわしくない言葉に誰も驚かない。
「それは凄いな! 麻美(あさみ)。無事に戻ってきたら、次は土星を目指してみようか」
「うん!」
少女は満面の笑みで答える。その笑みが強い程にこの場にいる男達は、心の中で涙を流す。