約束
秘密の部屋
「つまりは2人の大事な場所ってこと?」

俺の後を歩き陽介が聞き返してくる。

「ああ。」
「そんな大事な場所を俺たちに教えていいのか?」
「…お前たちなら…教えてもいいような気がしたから…」

俺は自然とそう答えていた。そして、ゆっくりと家の中へ入った。

「へぇ、意外と綺麗なんだな。」

部屋の中をキョロキョロと見て和也が言った。

「まぁな…。いろいろ持ち寄ったらこうなった…」

龍司が和也に答え荷物を置きキッチンに向かった。その間に俺は

「とりあえず適当に座ってくれよ。」

いつもの定位置に座って2人に声をかけた。そんな俺に2人はじっと見ていた。

「なっ、なんだよ!」
「…えっと、いつも龍司がやってるのか?」
「?」

和也の質問の意味がわからず俺は首を傾げた。

「だから…この家のことだよ。家事みたいなさ。」
「ああ!」

やっと理解し手を叩きながら

「なんか自然とそういう形になってた。」

あっさりと答えると2人は深く溜め息をついた。そこに飲み物を持って龍司が戻ってきた。

「なんの話をしてるんだ?」

飲み物をそれぞれの前に置き俺の隣に座って龍司が問いかけてくる。

「いや、龍司がキッチンでいろいろやってるのに皐は座ったままだからさ…ちょっと気になって…。」

コーラを一口飲んで陽介が言うと

「うーん…。なんだろうな。ただ、俺が皐にいろいろしてやりたいって思ってるだけだからな…」

テキパキと俺の前に飲み物や食べ物を置きながら話す龍司に呆れて

「お前…どれだけ皐が好きなんだよ…」

和也が紅茶を飲んでから言った。
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