約束
4人の夏
その日から俺たちの新しい夏が始まった気がした。


次の日、俺たちは用事を済まし約束通りあの家に集まった。


「……」

ドアを開け中に入った俺と龍司は目の前の光景に口をあけたまま呆然としていた。それに気づいた和也がゆっくりと俺たちの方へ近づいた。

「よぉ、遅かったな。」

少し苦笑いで和也は俺たちを出迎えた。

「…和也…これはいったい…」

驚いたまま俺は和也に問いかけてみた。すると和也は深い溜め息をついて

「これは、全部夏休み中の課題と宿題…」

情けなく答え

「それも全部、あいつのだ。」

ムスッとした表情に変わり目の前の人物を指差して言った。それを聞いて俺と龍司は愕然とし何も言えずただ溜め息をつくしかなかった。

「「……」」

無言のままその光景を見ていると突然、視線が合った。

(あっ…まずい…)

宿題に囲まれた陽介と目が合った俺はそのまま逸らせず

「よっ、よおっ。」

思わず声をかけてしまった。そんな俺の横で龍司と和也は“馬鹿”と小さな声で俺に言い溜め息をついた。そして、陽介の目がキラキラと輝きだしたように見えた瞬間

「皐〜」

猫なで声で呼ばれてしまった。

「悪いな、皐。助けてやってくれ。」

呆れながらも俺の肩を叩いて和也が言った。

「はっ?なんで俺が?和也が見てやればいいだろ?」
「悪いな…俺は皐ほど頭良くないから…」
「はい?」
「たぶん、龍司と同じじゃないか?」
「……」

ははっと笑いながら和也が言った。
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