約束
「「由岐!!」」
「久しぶりだなって…お前ら…相変わらずだな…」
「まぁな…」
「あはははっ!龍司の一方通行か!」
「うるせぇ!」

そんな会話をしながら俺たちは、校内に入る。その瞬間

「おはよ、皐!龍司、由岐!」
「おはよ、皐くんたち!」

男女共々から一斉に挨拶をされる。


俺と龍司。そして、由岐は、小学校の時からの腐れ縁だ。

小3の時に初めて3人が同じクラスになった。その時は、まだ俺と龍司だけだった。全クラスの生徒たちがなぜか、俺たち2人を遠ざけていた中で唯一、話しかけてきたのが由岐だった。

「えっと…星野と桐谷?」「「?」」
「あっ、あのさ…俺と…とっ、友達になってくれない?」


そう言って震えた手を由岐は、俺たちに差し出した。そんな由岐の突然の行動に俺たちは、驚いた。それと同時に嬉しくもあった。

初めて、自分たち以外の友達が出来たから…。そして、俺たちは、友達になった。

周りは変わらないが由岐だけは、中学になっても変わらず俺たちのそばにいてくれた。それが俺たちにとって一番の支えとなったんだ。


「…結局…あいつらは、変わらないんだな…」

ふとっ、由岐がそんなことを口走った。

「「……」」
「全く…皐も龍司も俺たちとなんも変わらないのにな…」
「…由岐だけがそう思ってくれるだけでいいよ、俺たちは…」
「そうそう。それに、しかたないさ。あいつらにとって俺たちは、特別に見えるんだしな。」
「…特別って…たかが運動神経がいいのと頭がいいだけだろ?あとは、普通の男だろうよ。」

俺と龍司の言葉に少しムスッとしながら由岐が言った。

「…なにもお前が怒ることないだろ。」
< 40 / 64 >

この作品をシェア

pagetop