約束
「ははっ!そこは大丈夫だ。ちゃんと平等に生徒を見てるからな」

笑顔で賀川先生が答えそして、直ぐに真剣な表情をし

「とにかく、お前は、お前のしたいようにしろよ。なにかあればいつでも俺が相談にのってやるから」

優しく俺に言ってくれた。

「ありがとうございます。賀川先生には、ホントいつも助けてもらって…」
「ん?いや、まぁ、玲一の大事な息子だからな…自分になにかあった時は、助けになって欲しいって言われてたしな」

それでも賀川先生の優しさは、嬉しかった。父が亡くなって心あらずだった俺をずっと龍司たちと一緒に支えてくれた。

「じゃあ、戻っていいですか?」
「あっ、ああ。すまなかったな」

そして、俺は、生徒指導室を出て教室へ戻った。




「…裕介…あいつに何をするつもりなんだ?」

星野がいなくなって独り俺は、呟いた。そして、窓の外を見て

「…玲一…皐は、何があっても俺が守ってやるから」

天にいる玲一に改めて誓った。



賀川先生と話を終え教室へ戻ると何故か龍司と由岐が女子たちに囲まれていた。

(…なんだ?俺がいない間に一体なにがあったんだ?)

疑問に思いながら俺は、こっそりと教室の中へ入り男子たちの方へ近寄った。

「なぁ、あれどうかしたのか?」

近くにいる男子に俺は、聞いてみた。すると

「ああ…。なんか今朝のことを聞かれてるみたいだぜ」
「…はっ?」
「今朝、桐谷がお前に告白してただろ?」
「……」
「そのことが気になってるらしくてさ」
「はぁ…」

その話があまりにも下らなすぎて俺は、力が抜けていた。そんな俺に気づいたのか

「「皐!!」」

龍司と由岐が助けを呼ぶかのように大声で俺の名前を呼んだ。そのせいで女子たちもこちらに振り向いた。

(…っ…)

女子たちの迫力に押され俺は、思わず後退り龍司たちから放れようとしたがそれより先に龍司に腕を掴まれてしまった。

「ちょっと待て。なんで逃げるんだよ」
「そうだぞ。自分だけ避難するのは、ずるいぞ」

じっと俺を見て龍司と由岐が少し疲れたように言った。
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