約束
その言葉に俺は

「はっ?ちょっと待て。俺は、関係ないだろ!今朝のことなら龍司が勝手に言ったことだろ?」

龍司に言い返したが

「関係なくない!皐がちゃんと俺の気持ちをわかってないからだろ!」

何故か悲しそうな表情で龍司が更に言い返してきた。

「「……」」

そんな珍しい龍司の表情に俺と由岐は、唖然としてしまった。すると

「星野くん!あまり否定したら桐谷くんが可哀想だよ」
「ちゃんと受け止めてあげて」

など女子から言われた俺は

「…だから、誤解だって言ってるだろ!こいつの好きは、親友としてだ!決して恋愛感情じゃない!」

そう叫ぶと教室の中が静まり返った。

「…はぁ…みんな、龍司の行動に勘違いしてたんだよ。俺たち男子は、みんな龍司の気持ちわかってたからな」
「だよな〜。だいたい、桐谷がいつも誤解を招くようなことするからだろ」

由岐を初め次々と男子たちが口にする。それに対し

「なっ、なんでだよ!皐を好きで何が悪いんだよ!」

龍司は、叫んだ。そんな龍司に俺たちは、呆れていた。

「あのな…好きでも限度ってものがあるだろ」

由岐が小さく溜め息をついて言った。

「…でも…俺は…皐と離れるなんて…できない…」
「「!?」」

その言葉に俺と由岐は、驚き何も言えなくなってしまった。

(龍司のやつ、もしかして…)

龍司の言葉が気になり俺は、授業中、龍司のことばかり考えていた。そして、放課後、いつものように窓際の席に座りサッカー部の様子を俺は、見ていた。

「…いつもの龍司に戻ってる…」

楽しそうにボールを蹴りながらコートを走る龍司に俺は、目が放せなかった。

「あんな龍司は、久しぶりに見たな。何かに怯えている時の顔…」

< 60 / 64 >

この作品をシェア

pagetop