華〜ハナ〜Ⅰ【完結】
その後は、なんだかんだ言って大変だった。
なぜなら…
誰が私を送るかでモメたから。
誰でもいいし。
てかそこは普通、楓じゃないの?
そう思ったけど何も言わなかった。
「俺が侑希を送るっ!」
はーいと手を挙げて言ったのは李玖。
「んだとてめぇ!?俺だっ!」
李玖に突っ掛かるのは楓。
さっきまであんなに可愛かったのに。
今は敵を威嚇する猫みたいだ。
ぎゃーぎゃーとうるさい二人を見ていると、どこからか物凄くブラックなオーラが漂ってきた。
「おい。李玖、楓。」
それは、地を這うような低い声。
呼ばれた二人はビクッと肩を震わせて恐る恐る、声がしたほうを振り向いた。