華〜ハナ〜Ⅰ【完結】
そしてそれを合図に、少人数での殴り合いが始まった。
「あの…侑希さん……?」
不意に、運転手の祐介さんが話し掛けてきた。
………ケンカ見てたのに。
「逃げます…か?」
そんなこと私に聞くの?
私は、いいえと返事をしようとした。
がちゃっ……
だけど車のドアが開く音がして、遮られた。
もう終わったんだろうか…
そう思って運転手さんを向いていた顔を、ドアのほうに向けた。
「うおっ!女がいるじゃねぇか〜…」
車に入ってきたのは、槇原、という人だった。