華〜ハナ〜Ⅰ【完結】
「へぇ〜、幹部が全員同じ車に乗ってるなんておかしいと思ったんだよな。
オヒメサマを護送中ってワケか。」
槇原はそう言って私をニヤニヤと見てくる。
「このっ…」
運転手さんは、いきなりの槇原の登場に驚いて、何かしようとした。
だけど……
「うるせぇ。」
そう言った槇原に、手刀を入れられて気を失った。
仮にも全国No.1の暴走族に入ってるのに…
弱いわね。
私はすんなり気絶した運転手さんを見て情けない気持ちになった。
そしてまだここにいる、槇原に目を向けた。
「悪ぃなあ、女の子の前で。
つかお前、きっれーな顔してんな。
なんつー名前だ?
桜華の姫か?」
なんだ桜華の姫って。
意味分からないし、
「自分から名乗りなさいよ。
常識ないわね。」
暴走族という人種には常識がないのかしら?