華〜ハナ〜Ⅰ【完結】
「…………」
今の私の表情?
そゃあ、無表情だろうけど。
今の私の感情?
……まさしく、開いた口が塞がらない。
チンと音を立てて開いた扉は、エレベーターのドアだった。
なんで?
やっぱり暴走族ってお金持ち……
私には理解不能だ。
「何してんだ?乗れよ。」
ぼーっと立ったままの私に蓮士が声をかけてきた。
その声にハッとして、私は慌ててエレベーターに乗り込んだ。
エレベーターのボタンは5まである。
ってことは5階まであるわけ?
でかすぎ……。
チラッと蓮士を見ると、当たり前のような顔をして3のボタンを押し、けだるそうに壁に寄り掛かった。
「…………」
「…………」
無言の空間だったけど、私は苦じゃなかった。