華〜ハナ〜Ⅰ【完結】
「柚!お前侑希から離れねぇかっ!」
そう言って楓がユズキをひっぱって蓮士に渡している。
「お姉さんがいい!レンやだ!」
ユズキってば、普通に喋れるくせに子供ったぽくしてる。
「柚?あんま無理言うな?」
そう言う蓮士は困ったように笑っている。
「別に大丈夫よ。
おいで、ユズキ。」
私がそう言うと、ユズキはたたたっと走ってきた。
そして私の腰にぎゅっと抱き着くと、そのままスースーと寝息を立てはじめた。
「侑希ちゃん、」
「ん?」
私は嘉に呼ばれ、視線を向けた。
「あ…いや…なんでもないよ。」
どうしたんだろう?
私は少し疑問に思いながらも、寝ているユズキの髪を掬うように撫でた。