華〜ハナ〜Ⅰ【完結】
「んんん………っ」
私は今日も、朝日が眩しくて目が覚めた。
馬鹿だな…
昨日ぜったい閉めて寝ようと思ったのに。
しかもいつの間にか寝てしまったようで首が痛い……
「はぁぁ……」
私は朝から大きなため息をついてしまった。
「逃げる幸福もない、か……」
昨日、楓に言ったことを思い出す。
本当に、今の私にはその言葉はピッタリだ。
いつだったか……
幸福になりたいと思っていた――。
それがいつだっかなんて分からない。
私は人より記憶力がいいはずなのに
人より幼い頃の記憶が薄い。
というか、全く覚えてない。
親の顔…
住んでいた場所…
何もかも知らない。
私の記憶はマスターと一緒にあの場所に入ったところからだ。