華〜ハナ〜Ⅰ【完結】



私は通話ボタンを押し、耳元に近づけた。




「……はい…………」

<あ、侑希ちゃん?起きてた?>

「ええ。さっき起きたわ。」

<そっか。あのね、話があるんだけど…>




またか。

今度は一体何なんだろう。




<できたら、“城”に来てほしいんだ。

あっでも遠いかな?


あっ……蓮………>




電話の向こう側で、嘉が驚いたような声をあげた。


蓮士……?




<よぉ。>



低い、心地好い声が聞こえてくる。



「おはよう、蓮士。」

<ああ…>

「どうしたの?話って何?」




学校じゃダメなんだろうか。




<今から迎えに行く。家で待ってろ。>




……は?



「家分かるの?」


そうだ。

来たことないのに私の家が分かるんだろうか。




<俺のケータイにGPSがついてる>



ああ、なるほどね。




「分かった。家で待ってればいいのね?」





私は学校に行く気も起きなかったから、“城”に行くことを承諾した。





< 151 / 417 >

この作品をシェア

pagetop