華〜ハナ〜Ⅰ【完結】
カツカツと規則正しく階段を降りていく蓮士。
グラウンドは騒がしいのに校舎の中はとても静かだ。
「ねぇ、蓮士?下ろしてくれない?」
静かな中に、私の声が響く。
そんな声が聞こえているのかいないのか、蓮士は返事もしないし下ろしもしない。
「ねぇ。」
…………
「ねぇってば!」
何度も言うけれど、蓮士は私をチラッと見るだけ。
………はぁ。
意味がわからない。
「何で下ろしてくれないのよ?」
私はため息をつきながら呟いた。
すると
「顔色悪ぃし。まあ別にいいだろ?」
良くない。
それに。
「顔色悪くなんてないわよ?
元気だもの。」
その通りだ。
「いや、顔色悪ぃ。とりあえずバイクまではこのままだ。」
蓮士は頑として譲らなかった。