華〜ハナ〜Ⅰ【完結】
「本当に今、起きたのか?」
結都は怪訝そうに重ねてそう聞いてくる。
なんなんだろう?
私は再び「そうよ。」と答える。
「……………」
「……………」
私と結都は黙ったまま。
私は結都の目を見ていた視線を、窓へと移した。
そんな私に声がかかる。
「さっき……」
そう言って、言葉を濁す。
「さっき、何?」
私は窓を見たままそう言う。
「……いや、」
結都はすごく歯切れが悪い。
もともとそんなに喋るタイプではないんだろう。
なのに何か、言いにくいことを言おうとしている。
だからこんなに歯切れが悪いんだろう。
私はそう思った。