華〜ハナ〜Ⅰ【完結】
「さっき、楓がこの部屋に来た。」
ん?楓?
急にどうしたんだろう。
「…お前を心配した楓が様子を見に来たんだ。俺が来る前に。」
つまり、私が寝ていたとき。
「そうだったの…気がつかなかったわ。」
私はそれだけ深い眠りについていたんだろう。珍しく。
「…楓、今怯えてる。」
「………何に?」
急に楓が怯えてるなんて言われても…
何が言いたいんだろう。
「…この部屋に来たとき、物凄い殺気を感じたらしい。」
私の肩が、ピクッと反応した。
私の意思とは関係なく。
「俺は、お前が楓を脅したのかと思った。」
……………。
私じゃあない。
――はず。
「…私は寝てたのよ?」
「ああ。」
結都は強い目をしていた。
私はそれから目を逸らした。