華〜ハナ〜Ⅰ【完結】
「ねぇ、楓?苗字、なんて言うの?」
カチカチと、パソコンを見ていたエリカが言った。
「ん?鈴堂だよ。どうかした?」
すっかりエリカに慣れて、楓は普通に話すようになっていた。
「ん〜……楓、捜索願がでてる。」
「は?」
エリカは重たく口を開いた。
楓には、母親から捜索願がだされていたのだ。
「どういうこと?」
楓は冷や汗を流しながらエリカに尋ねた。
「そのまんま。楓、あたしに話してくれる?家で何があったのか。これからどうしたいか。」
いつもは柔らかく話すエリカも、驚いたのかついつい強い口調になる。
楓はぽつぽつと話し出し、家を出たことを話した。