華〜ハナ〜Ⅰ【完結】
「そっか…
楓、一回家に帰りな?」
楓はエリカが発した言葉に落胆した。
エリカが自分を隠してくれるかと思っていたのだ。
でも、エリカは帰れと言った。
「なんで…そんなこと言うんだよ……」
楓が振り絞った声は、震えていた。
「お母さん心配してるかもしれない。
あたしもついていくから。」
楓の目にはうっすらと涙が浮かぶ。
「行きたくない。行かない。」
首をブンブンと振りながら言う楓。
エリカは辛そうに楓を見る。
エリカにはエリカの記憶があったのだ。
楓は何も、知らなかった。