華〜ハナ〜Ⅰ【完結】
「楓…どうして戻ってきたの?
もう怖い思いはしたくないでしょ?
さっさとどこかへ逃げなさいよ。」
楓はその言葉を聞いて驚いた。
姉は母親と同様、楓に恐怖を与える存在でしかなかった。
なのに今、その姉が自分に逃げろと言った。
その、自分を気にかける言葉に驚いたのだ。
そして、楓にはその理由はわからなかった。
二人の言葉が途切れ、無言の空間が続く中。
エリカが口を開いた。
「少し、話をしていただけませんか?」
楓の姉は困った表情をしたものの、ゆっくりと頷いた。